YOUが送るオンライン読み物「シアワセを感じる100歩」

「褒める」を楽しむ

002.jpg「ハニー!ハニー!」ハリウッドスターが画面の中で連呼している。その映画を観ていると、登場人物が恋人や家族を呼ぶのに使う言葉が妙に気になりだした。「ハーイ、ハニー」は、まあ一般的だとして「ハーイ、ビューティフル」というのは、なんだかむずがゆい。人前で「やあ、美人さん」と呼びかけるなんて。さすがに字幕は「美人さん」ではなく、日本人にもなじみのある「ダーリン」だった。和訳されてもカタカナ英語。そもそも、日本人はそんな風に相手を呼ばないのだから仕方がない。ちょっと興味がわいて「第一歩」にご登場いただいたアメリカ人のスコットに、ほかの例を聞いてみた。すると、そういう言葉は無数にあるとの返事。一般的な「ベイビー、シュガー、スウィーティー」などに、何か甘い言葉を加えた「スウィーティーパイ」的な発展バージョンもあるという。

相手のイメージに合った褒め言葉を、その都度選んで使う。それが日常的だということが実にすてきだなと思う。お世辞にしたって、単なる習慣にしたって、両者の間に褒め言葉がふわりと浮かんでいることには変わりない。

かといって、自分の周囲でそんな歯の浮くような言葉が飛び交う光景は想像しづらい。それなら「ハーイ、ビューティフル」の代わりに「そのシャツ、いい色ね」でもいいのではないか。「スウィーティー」と言わなくても「やさしいね」で十分だ。ある友人が、苦手だと思っていた仕事仲間からのさりげない褒め言葉が、二人の関係を変えるきっかけになったと話してくれたことがある。相手が誰であれ、相手に対してプラスのイメージを持った時は、心に留めずに伝えてみるといいのだろう。

誰しも「甘い言葉」を投げかけられて嫌な気はしない。ふと、その手の言葉に少しは縁があった若い頃のことを思い出した。「夢の分析」についての心理学の講義を聴き終えて教室を出ると、男友達が「昨日、君の夢を見たよ」と話しかけてきた。わざわざそれを報告しに来るとは、特別なセリフが聞けるのかしらとドキドキしていると「君がね、川で泳いでて『私はサカナよ、ホホホホホ』って言ってた。顔以外は魚でさー」と、彼。彼の夢の中で、私は人間ですらなかったことにがくぜんとした。どうやら、甘い言葉は待つものではないらしい。まあ、彼とはいい友達で、その会話の後も笑いながら一緒に次の授業へ向かったので、「サカナ」でも「半魚人」でも、当時の私は「変形型褒め言葉」として受け止めていたのかもしれない。「個性的」って褒められたと思っておこう...くらいに。~私ってホント寛大だわ~などと、たまには強引にでも、自分を褒めることにしている。

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執筆者・坪田多佳子プロフィール

1963年東京生まれ。ライター、小論文及び国語科専門プロ家庭教師。
「シアワセ感じる100歩。」は、2007年4月から2009年3月、朝日新聞の姉妹紙「RAKU(楽)」に掲載し、好評を得た。現在は「YOUよっかいち」の紙面と伊賀タウン情報YOUホームページで連載中。
日常生活で見つけた小さなシアワセをテーマに「~を楽しむ。」と題して1か月に1歩ずつ歩み続け、「100歩。」達成を目指す。
YOU紙面へはピンクリボンの記事も出稿。
趣味は読書、料理、英会話。インターネット上で、日本マニアの外国人に日本語を教えたりもしている。
家族は夫、息子、娘。松阪市在住。